栄養学雑誌
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体育系女子大生における生活習慣と食習慣調査
川野 因植原 吟子須田 裕子佐藤 文代
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1997 年 55 巻 6 号 p. 327-335

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抄録

本研究は, 体育系女子大生の運動の継続や起床・就寝時刻の規則性・食習慣・ストレス状態を含む, 様々な生活習慣の違いと, 主観的健康観の実態を把握することを目的に行った。
対象者は, 体育系女子大学2年生 (A生) 324人と非体育系女子大学2年生 (NA生) 84人である。A生は, 部活動をしている学生 (I群) と部活動をしていない学生 (II群) に分けた。NA生 (III群) はA生の対照とした。その結果, 次のことが明らかになった。
1) I群・II群はIII群に比べ, 身長・体重・BMIが各々高値を示し, 安静時心拍数は低下した。起床時刻はI群が最も遅く, 平均睡眠時間はI群がII群・III群に比べ長かった。起床・就寝時刻の規則性は3群間に有意な差がみられず, 対象者の65%は不規則な生活を過ごしていた。
2) I群・II群とIII群の朝食・間食・夕食の摂り方に明らかな違いがみられた。I群・II群はIII群に比べ欠食者が多く, “緑黄色野菜”, “その他の野菜・果物”, “豆・大豆製品” を毎日摂る割合が低下した。
3) I群とII群の食習慣得点は, III群に比べ有意に低下した。
4)“下宿生” の占める割合はI群が最も多く, 次いでII群, III群の順であり, “下宿生” は “自宅生” と比較して, より食習慣得点が低く, 起床・就寝時刻がより不規則であった。
5) 良い健康観は, 起床・就寝時刻の規則性と良い食習慣, 少ないストレスに高い相関を示した。
以上の結果より, 体育系大学の女子選手が健康を保ち, 高い競技力を獲得するためには, 規則正しい生活習慣の確立と食習慣の見直しが重要であることが示唆された。
本研究は, 平成7年度日本女子体育大学スポーツ栄養学研究室における卒業研究の一環として実施されたものであり, 木村麻衣子, 門脇美和の両名の協力により, 実施されました。ここに, 心より感謝を申し上げます。
また, 本研究の一部は第43回日本栄養改善学会 (平成8年9月, 東京) において発表した。

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© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
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