栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
食品中の硫黄含量について (第1報)
77食品中の硫黄含量
江口 昭彦齋藤 寛田中 静恵田中 恵子中野 篤浩有澤 孝吉小林 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 57 巻 3 号 p. 177-182

詳細
抄録

種々の食品中の硫黄含量を明らかにすることにより, 硫黄の摂取量また硫黄の人体に対する生理的意義や健康状態との関連を知るための基礎資料の作成を目的とし, 予備的な回収実験の後, ICP発光分析法により12群77種 (各5検体) の食品について硫黄含量を測定した。この結果に基づいて, たんぱく質, 含硫アミノ酸と硫黄含量との相関を解析した。
1) システイン溶液を用いた回収実験の結果, 過酸化水素水, 硝酸, 過塩素酸を加える操作法が, 最も高い回収率 (97.8±2.1%) を示した。
2) 魚介類, 卵類, 豆類, 獣鳥肉類, 藻類 (あまのりのみ) 等の食品は, 硫黄含量が多かった。
3) いも類, 野菜類 (にんにくを除く), 果実類, きのこ類などの食品は, 硫黄含量が少なかった。
4) 今回測定した食品の硫黄含量とイギリスで発表されているもの20種 (24品目) との比較を行ったところ, 数値に若干の開きがあるものもあったが, 相関係数はr=0.89 (p<0.001) と極めて強い有意な正相関が認められた。
5) たんぱく質及び含硫アミノ酸含量と硫黄含量との間には, 有意な正の相関が認められた。
6) いいだこ・いか・ほたてがい・あまのり等の硫黄含量が特に多いのは, タウリンが多く含まれている食品であったり, 含硫アミノ酸以外に酸性ムコ多糖類似物質等も含まれている食品であるためと考えられる。
7) にんにく, あさつき, グリーンアスパラガスの硫黄含量が比較的高いのは, 硫化アリルを含んでいるためと考えられる。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
前の記事 次の記事
feedback
Top