1999 年 57 巻 4 号 p. 211-220
肥満児の体重は, 成長という加齢的要因による増加や, 夏に体重が著しく増加するという季節的要因の影響を受けていると考えられる。小児肥満改善教室を実施し, 教室の評価を行う際に, その体重変動が教室による介入効果を分かりにくくしている。
本研究では, 肥満児155人に対し9か月間小児肥満改善教室で栄養, 運動指導を行い, 対照群を用いて変動要因を除く方法で介入効果を評価した。その結果, 介入群には有意な肥満度減少がみられた。介入効果には, (1) 夏休み後の肥満度減少, (2) 子どもの肥満を改善したいという親の意欲が関与していた。逆に, (3) 肥満発症年齢が高い, (4) 食欲が旺盛, (5) 夜型の生活などが肥満の改善を妨げていた。また, 肥満度の改善, 非改善に関わる各要因を, 数量化理論第II類によって数値化した。このことにより, 今後は教室途中で, 夏休み後の肥満度増減や質問紙調査から, 各対象児のスコアを求め, 終了時の非改善が予測される対象児を重点的に指導することで, より教室の効果が上がるものと思われる。