栄養学雑誌
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食品表示教育に関する研究
女子学生の食品表示の見方と活用について
田中 恵子池田 順子
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1999 年 57 巻 6 号 p. 343-354

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抄録

女子学生を対象に, 食品表示の見方と食品選択を含めた表示の活用の仕方との関連, 及び食品表示の利用と対象者の食と健康に関する意識と行動との関連を調べ, 食品表示教育の効果的な方法について検討した。1) 対象者の多くは栄養成分表示 (エネルギー) をよく見ており, この情報を食品の選択に生かしていた。しかし, 栄養成分含量の1日の所要量との比較や, 表示を見て摂取量の増減等に活用する者は少なかった。一方, 原材料や添加物をよく見ている者の約5割が, 主な食品選択基準に“安全性”を挙げていなかった。このように, 食品表示を見る行為は表示の活用に十分生かされておらず, 表示の情報を実際の食生活に結びつけるためには食品表示教育が必要であることが示唆された。
2)対象者の食と健康に関する意識, 行動と表示の見方や食品の選択基準, 及び栄養成分表示の活用の仕方との関連性を検討した。その結果, 実際の表示教育では対象者個々の食と健康における意識と行動, 目的を明らかにした上で, 目的に応じた表示の活用方法と関連ずる基礎知識を併せて習得させることが有効であると示唆された。
3)食べ方を評価する食生態スコアは, (1)表示をいつも見る習慣があり, (2)食品の主な選択基準に“栄養”や“安全性”を挙げる傾向があり, また(3)栄養成分表示を活用する習慣を有する者ほど有意に高かった。このことから, 食品表示の活用を習慣化することは, 食生活のレベル向上にもつながることが示唆された。

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