栄養学雑誌
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高校男子スピードスケート選手の栄養状態
ビタミンB1及びB2について
長谷川 いずみ井上 喜久子石井 恵子樋口 満
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2000 年 58 巻 2 号 p. 59-66

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抄録

高校スピードスケート部に所属する男子選手8人のビタミンB1及びビタミンB2の栄養状態を評価するために, ビタミンB1及びビタミンB2の摂取量調査と, 血液によるビタミンB1及びビタミンB2の栄養状態の指標を, 1年半の間に4回 (シーズンオフ, シーズンにそれぞれ2回ずつ) 分析した。
いずれの調査においても, 1日当たりの平均ビタミンB1摂取量 (1.6~2.5mg) はビタミンB1の所要量 (生活活動強度III: やや重い) を上回っていたが, 数人の男子選手はその所要量レベル (1.3mg/日) よりも低かった。何人かの選手はTDP添加効果でみると不十分なビタミンB1栄養状態であり, スピードスケートのシーズン中はその割合が増加してくる傾向がみられた。
平均のビタミンB2摂取量 (1.9~2.3mg) は, どの調査でもその所要量レベル (1.8mg/日) を上回っていたが, 何人かの選手の摂取量は所要量より低かった。シーズン中は2人の選手がFAD添加効果でみると, 不適切なビタミンB2を栄養状態であった。
これらの結果は, 若いスポーツ選手が良好な血中ビタミンB1及びビタミンB2栄養状態を保持するためには, ビタミンB1及びビタミンB2をそれぞれの所要量よりも多く摂取する必要があることを示唆している。また, 若い選手のビタミンB1及びビタミンB2栄養状態を改善するためには, 個人対応の食事指導が重要であると考えられた。

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