栄養学雑誌
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食事摂取の規律性の評価方法に関する検討: 女子大生の食事を例に
杉浦 陽子柳沼 裕子岡崎 光子
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2003 年 61 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

近年, 若年者の食生活の乱れが問題となっている。規則正しい食生活を実践するために, 個人の食事摂取の規律性を把握することは重要である。そこで, 著者らは若年者として某女子大生65名を対象とした食事状況の調査を行い, 食事量を考慮した食事摂取の規律性を評価する手法について検討した。
1) エネルギー摂取量の変動係数を日単位の食事摂取の規律性指標として用いた。日単位の規律性が認められた者は35名, 認められなかった者は30名であった。なお, エネルギー摂取量の変動係数の平均値 (23.8%) と範囲 (15.5-37.0%) は先行研究とほぼ同値であった。
2) エネルギー摂取量の変動係数と1日あたりのエネルギー充足率の間には相関関係が認められた (r=-0.58, p<0.001)。
3) 朝, 昼, 夕食から得たエネルギー摂取量と欠食率を指標とし, 3食単位の食事摂取の規律性を評価した。3食単位の規律性が認められた者は30名, 認められなかった者は35名であった。また, 日単位の規律性を有する者は3食単位の規律性を有する率の高いことが示された。
4) 日単位, および3食単位の規律性の有無は調査時期の影響をほとんど受けないことから, 食事摂取の規律性は個人の食行動特性として固定している可能性が示唆された。
5) 食生活に問題のある者は質問紙を用いる簡単な調査では特定できない可能性が示された。

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