映像学
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論文
ルイ・ドゥリュックの文学作品と映画作品の関連性
駒井 政貴
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2019 年 102 巻 p. 155-173

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抄録

フランスでは 1908 年にフィルム・ダール社が映画の製作を開始して以降、映画の芸術化を標榜してきた。しかしながら、ルイ・ドゥリュック等がアメリカやスウェーデン映画と比べ自国映画の後進性を映画批評において指摘した時、何が欠けていると考えたのだろうか。ドゥリュックが自ら監督をした時に、どのような要素を、フランス映画に導入しようと考えたのかということを、ここではドゥリュックの戯曲や、第一次大戦中から書き始めた小説を分析しながら考察した。

戦前には演劇批評や劇作をしていたドゥリュックは、第一次大戦が勃発すると、戦争に対しての反対意見を表明するための小説を書き始めた。ドゥリュックの小説を読むと、一人称での語りや小説での様々な形式を試みており、ドゥリュックは演劇出身でありながら、小説の方法を積極的に取り入れ、小説を書いたことが分かる。後にドゥリュックは映画を製作した際、小説を書くことでドゥリュックが得ることになったこれらの方法を、映画批評を通してアメリカ、スウェーデン映画から学んだ映画技法を使い、自作の映画に取り込み、フランス映画を新しい局面へ導いたと考えられる。

上記の観点から、第一次大戦中から小説の執筆を始め、映画を意識的に見始めるようになったドゥリュックの文学と映画にどのような影響関係があったのか考察する。

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