E-journal GEO
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地理教育総説記事
動態的地誌学習の課題克服に向けた一考察
下池 克哉
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2016 年 11 巻 2 号 p. 390-400

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抄録

動態的地誌学習の授業設計において,多くの社会科教員が単元を貫く問いの設定に困難を感じている.先行研究では,地域における中核事象を取り上げ,「なぜ,このような特徴がこの地域にみられるのか」という「なぜ疑問」のもと,中核事象を成り立たせている原因を追究させるというのが一般的な見解となっている.そこでは,中核事象を結果として位置づけて,単元を設計するという方法が取られることになる.しかし,平成20年版の中学校学習指導要領[社会]の中核とする内容に基づく中核事象には,自然環境や歴史的背景のように,結果として位置づけられないものがある.したがって,中核事象を結果として位置づけ,中核事象を成り立たせる原因を探究させるケースと,中核事象を原因として位置づけ,中核事象がもたらす結果を探究させるケースの2パターンに分けて,単元を貫く問いを設定する必要がある.

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© 2016 公益社団法人 日本地理学会
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