E-journal GEO
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調査報告
1994年広島アジア競技大会の無形遺産―一館一国運動の25年―
和田 崇
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2020 年 15 巻 2 号 p. 175-188

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抄録

本研究の目的はスポーツイベントが開催都市に何をどのように残したかを解明することにある.具体的に,1994年に広島市で開催された広島アジア競技大会を取り上げ,公民館単位で実施された参加国の学習・応援活動が市民や地域コミュニティにどのような遺産を残したのかを時間の経過に着目して解明した.その結果,市民参加型を標榜した広島アジア競技大会は,市民活動の活発化や市民意識の国際化といった無形の財産を広島に残し,大会開催から25年が経過しても存続している.しかし,そうした意識をもち,活動を継続する市民は,広島アジア競技大会に参加して祝祭の時間を共有し,それをポジティブな経験として記憶する高年層が中心であり,それを経験・共有・記憶していない若年層には継承されていない.すなわち,スポーツイベントの祝祭性を経験・共有・記憶する者の高齢化に伴い,市民意識や市民活動など無形遺産は継承されなくなる可能性がある.

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© 2020 公益社団法人 日本地理学会
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