政策的議論が本格化して15年近く経過した地域運営組織(RMO)は2020年度には5,783まで増加した.RMOは平成の市町村合併で広域化したことによる地域課題への対応を目指した,2000年代の第二次コミュニティブームの時期に設立されたものが多いが,1970年代前半からの第一次コミュニティブームの中で設立されたものもある.本稿では,前者の例として山形県酒田市日向(にっこう)地区,後者の例として鶴岡市三瀬地区のRMOを事例にその再編過程の実態を明らかにした.その結果,RMO設立という組織再編だけではなく,社会的背景に応じた機能再編が図られているものの,RMOがもつ機能には時代性があり,それにより分離型と一体型の志向性の違いが読み取れた.また三瀬地区ではRMO設立に伴い,基盤となる地区の空間再編が行われたことも明らかになった.