2010 年 4 巻 2 号 p. 109-116
岩手・宮城内陸地震は,従来活断層の存在が指摘されていない場所に起き,「想定外」の災害を招いた.しかし地震後の調査によって,震源域には活断層が存在していたことがわかった.もしもその存在が事前に周知され,適正に地震規模が推定され,被害想定に基づく地震対策が地域防災計画等に十分反映されていれば,今回の地震被害は軽減され,救助・救援活動を効率的に行うことができた可能性がある.今回の地震は活断層の事前認定の重要性を改めて示した.しかし一方で,事前に確認できる活断層は震源断層に比べてはるかに短く,地震規模を適切に想定することは困難であった.短い活断層が起こす地震の規模をいかに予測するかという重大な課題を提示した.