E-journal GEO
Online ISSN : 1880-8107
ISSN-L : 1880-8107
調査報告
モンゴル西部バヤン・ウルギー県サグサイ村における移動牧畜の現状と課題
相馬 拓也
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 9 巻 1 号 p. 102-119

詳細
抄録

モンゴル西部アルタイ地域(バヤン・ウルギー県)では伝統的な季節移動型牧畜活動が,アルタイ系カザフ社会の生産体系の根幹をなす.しかし遠隔地かつ少数民族社会であることから,同地域ではいまだ生活形態などの基礎的知見が確立していない.本研究では,同県サグサイ村ブテウ冬営地(BWP)の牧畜開発・地域支援を視座に,滞在型のフィールドワークを行った.長期滞在による参与観察やウルギー県統計局の内部資料を参照し,①世帯毎の所有家畜総頭数・構成率,②家畜飼養・管理方法,③季節移動の現状,についての基礎的知見を明らかとした.その結果,BWPでは6割以上が貧困層世帯であり,最低限の生活水準にあることが確認された.また計画的増産や日々の放牧への人的介入は行われず,牧畜生産性の停滞など,アルタイ系カザフ牧畜社会が抱える現状と課題が明らかとなった.

著者関連情報
© 2014 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top