2020 年 2 巻 2 号 p. 148-153
68歳,女性.摂食障害による極度のるい痩を認めていた.血便と腹痛を主訴に当院消化器内科を受診し,採血で貧血と凝固系の悪化を認め入院となった(1病日).4病日にCT撮像したところfree airを認め当科紹介となった.直腸穿孔,肛門周囲膿瘍および壊死性筋膜炎の診断で緊急手術を施行した.17病日に下行結腸穿孔の診断で2回目の手術を施行した.20病日TP 3.6g/dL,Alb 1.0g/dLと低栄養の改善を認めないことから,29病日よりメテノロン10mg/日の投与を開始した.また,36病日から通常の経腸栄養に加えアバンド®2包投与(投与総たんぱく76g/日)を開始した.81病日にはTP 7.1g/dL,Alb 2.8g/dLと栄養状態の改善を認め,アバンド®投与を終了した.特に副作用は認めることなく,メテノロン内服は継続のまま125病日に自宅へ独歩退院となった.