SmC相の混合系は混和試験の原理に反し、2種類の材料が共にSmC相を示す温度においても、混合系ではSmA相が安定になることが少なくない。一方、SmA-SmC転移点近傍での層圧縮弾性率の挙動は、クリティカルソフトニングという臨界現象を通して、相転移温度の上下における幅広い温度範囲で、層内の分子の傾きの安定性に関する知見を与えてくれる。つまり、混合系が現実にSmC相を示さなくても、SmA-SmC相転移の臨界現象がSmA相内で観測でき、臨界温度を推定することができる。本報告では、SmC相の2成分混合系のモデルを設定し、SmA-SmC相転移と、複数の液晶分子の混合との関係を層圧縮弾性の測定により研究した。