電気泳動
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技術
リン酸化プロテオミクス情報を活用したPhos-tag SDS-PAGEによるMEK1リン酸化種の解析
木下 英司木下 恵美子小池 透
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2017 年 61 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

本研究では,MAPK情報伝達系に属するMEK1に注目し,細胞内におけるMEK1のリン酸化状態をPhos-tag SDS-PAGEを用いて解析した.既に明らかにされデータベースに登録されているMEK1の12箇所のリン酸化部位をアラニン置換した変異体を作製し,Phos-tag SDS-PAGEによるそれらの分離パターンを野生型のそれと比較解析を行った.これにより,MEK1においてはThr-292,Ser-298,Thr-386,Thr-388の4つの主なアミノ酸が恒常的にリン酸化し,それらのリン酸化残基の組み合わせによって少なくとも6つのリン酸化種が細胞内において恒常的に存在することが明らかとなった.さらには,MEK1活性化・脱活性化の過程において,上記4つのアミノ酸のリン酸化レベルは変動し,それに伴って生じる6つのリン酸化種の存在比も大きく変動することが証明された.

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© 2017 日本電気泳動学会
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