2017 年 61 巻 2 号 p. 107-110
ブルーネイティブ電気泳動(BN-PAGE)は,タンパク質複合体の分子量や複合体を構成する分子種を解析する有用な手法として広く用いられる.BN-PAGEでは,色素CBB G-250をタンパク質分子の表面に弱く結合させて全体を負に荷電させる.そのため,タンパク質は高次構造や複合体構造を保持したまま,その分子サイズにしたがって分離される.我々は,シアノバクテリアの時計タンパク質KaiCの概日的なリン酸化リズムを生み出す高次構造の動態解析にBN-PAGEを利用した.BN-PAGEでは,KaiCは2つのバンドとして分離され,KaiCが六量体と単量体という2状態で存在することが示唆されたが,単量体はゲル濾過クロマトグラフィーでは検出されなかった.そこで,BN-PAGEで添加するCBBの効果について解析したところ,KaiCの六量体構造によっては,添加したCBBによって六量体が解離してしまうことが判明した.