2017 年 61 巻 2 号 p. 45-48
リン酸化は最も重要なタンパク質の翻訳後修飾であり,ほとんどすべての細胞内プロセスに影響を及ぼす.Phos-tagは,リン酸基に特異的に結合する機能性分子であり,Phos-tagを活用した技術はリン酸化プロテオミクスにおいて強力なツールとなる.Phos-tagアガロースを使用したクロマトグラフィー法は質量分析のための優れたリン酸化ペプチド濃縮法である.Phos-tagアクリルアミドを使用したPhos-tag SDS-PAGEは,タンパク質をリン酸化状態の違いにより分離することができ,リン酸化フォームに関する様々な情報を得ることができる.しかし,現時点ではPhos-tag SDS-PAGEを用いて複数のタンパク質を一度に分離し,リン酸化フォームを解析することは難しい.この点については,技術のさらなる発展を期待するが,Phos-tag SDS-PAGEは,電気泳動を用いたプロテオミクス研究をさらに促進する可能性がある.