2017 年 61 巻 2 号 p. 58-60
出芽酵母オートファジーでは,複数のAtgタンパク質が液胞近傍に集積することでオートファゴソームが形成されるが,この「高次集積」の分子機構は解明されていない.我々は,初期過程を制御するAtg1複合体(Atg1,Atg13,Atg17-Atg29-Atg31二量体)について解析を行い,Atg13の天然変性領域に2つのAtg17結合部位が存在すること,また,いずれもAtg13のリン酸化によって負に制御されることを見出した.興味深いことに,Atg13は2つのAtg17結合部位を持っているものの,これらは同一のAtg17二量体と相互作用するのではなく,異なる2つのAtg17二量体を橋渡しするように相互作用することが明らかとなった.この橋渡しが連続して起こることでAtg1複合体が自己高次集積していくものと考えられる.上記の結果を合わせ,オートファゴソーム形成初期過程の分子機構について紹介したい.