電気泳動
Online ISSN : 2189-2636
Print ISSN : 2189-2628
ISSN-L : 2189-2636
総説
微粒子電気泳動の原理と応用
赤木 貴則
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 64 巻 1 号 p. 19-22

詳細
抄録

本稿では,ナノ粒子のゼータ電位を測定する電気泳動装置について概説するとともに,細胞外小胞のゼータ電位の測定例について紹介する.粒子のゼータ電位を測定する電気泳動装置は,電気泳動セルと検出システムに特長がある.すなわち,電気泳動セルの材料および流路のサイズや形状,粒子の速度を評価する検出システムを測定目的に応じて選択する.

細胞外小胞は,細胞から細胞へと遺伝物質を運ぶメッセンジャーとして近年医療分野で注目を集めるナノ粒子である.ところが,標的細胞へのターゲッティングを担う表面分子の情報について,粒子ごとに分析できる技術が十分でないことが課題となっている.そこで,電気浸透流が栓流となる両端開放型マイクロ流路を備えた電気泳動セルと,暗視野顕微鏡法を組み合わせた電気泳動装置を開発し,抗体結合によるゼータ電位変化により細胞外小胞の表面分子を評価した方法について紹介する.

著者関連情報
© 2020 日本電気泳動学会
前の記事 次の記事
feedback
Top