英文学研究
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時間と空間、芸術の鏡としての自然 : Collinsの文学
水之江 有一
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1974 年 51 巻 1-2 号 p. 23-38

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抄録

コリンズの文学は時代的特性を敏感に反映している。すなわち詩人は当時の社会と微妙にからみあった文学を形成した。と言うのは、イギリスの国家と国民が詩人の意識をたえずとらえていたと同時に、当時の文学界に対する認識が彼の詩の出発点になっていた、と思われるからである。彼が1742年に出版した処女詩集『ペルシアの牧歌集』から1749年に書いた作品、しかも彼にとって完成された最後の作品となった『スコットランドの人びとに伝わる迷信』までの七年間に示した文学の世界は、作品の構築された時代と密接に結びついたものであり、その時代的背景を除外しては作品の価値が半ば以上減じてしまうものであり、詩人の創作意図を見誤るものである。具体的な例を『オード集』の出版された1746年という時に限定してこの問題を説明しよう。

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© 1974 一般財団法人 日本英文学会
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