沿岸海洋研究
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オホーツク海における大気海洋相互作用: 夏季の下層雲-海面水温フィードバック
中村 知裕古関 俊也三寺 史夫
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2012 年 50 巻 1 号 p. 71-77

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抄録

2003年7月オホーツク海高気圧発達時の下層雲について領域気候モデルを用いて調べ,海面水温への影響を検討した.オホーツク海では夏季も海面水温が低く,顕熱フラックスにより大気下層が冷却され下層雲(層雲または霧)が生じる.下層雲が出来ると,放射冷却で雲下には冷たい大気混合層が発達して海面乱流熱フラックスが上向きに強化され,海面への短波入射も大幅に遮蔽される.こうして,下層雲は有意な海面水温低下を引き起こし,下層雲-海面水温フィードバックが働きうる.このフィードバックは鉛直一次元過程ではないがオホーツク海全体で見ると成立しており,大雑把な見積もりでは下層雲もオホーツク海の夏季海面水温を低く保つのに有意に寄与している可能性が高い.

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© 2012 日本海洋学会 沿岸海洋研究会
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