日本生態学会大会講演要旨集
第51回日本生態学会大会 釧路大会
セッションID: O2-Y06
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秋田スギ天然更新林分における更新様式の解析 1.群落構造と栄養繁殖様式
*蒔田 明史阿部 知行三嶋 賢太郎高田 克彦澤田 智志
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抄録

 秋田県には樹齢200年を越すスギ高齢林分が残存しており、「天然秋田スギ林」と称せられている。しかし、こうした林の由来や更新特性については、必ずしも明らかになってはいない。古文書に植栽記録のある地域も一部あるものの、そのほとんどは天然更新に由来すると考えられている。しかし、実在する天然林が実生更新に由来するものなのか、それとも、多雪地に特有の伏条や立条(萌芽)更新などの栄養繁殖に由来するものなのかについては結論が出ていない。

 そこで、本研究では、スギ林の更新特性を明らかにすることを目的とし、栄養繁殖による更新様式に注目して調査を行った。調査地は、秋田県琴丘町上岩川地方のスギ天然更新林分である。一般にスギの天然更新は困難であるといわれるが、この地方では粗放的ではあるが、栄養繁殖を利用したスギ択伐天然更新施業が行われ、全国的にも特異的な施業として注目されてきた。この地域において林冠の状態の異なる調査区を3カ所設定し、毎木調査を行うと共に、現地で判別できる物については個体間のつながりを記載した。群落は小径木の多い明らかなL字型のサイズ分布を示したが、小径木の多くは栄養繁殖によるものではないかと推論された。発表では、このような群落構造の特徴と共に、栄養繁殖様式や幹下部からの出枝様式などの形態的特徴を報告する。

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© 2004 日本生態学会
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