日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: B203
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青森県小川原湖におけるウナギ個体群変動特性の考察
*立川 賢一金子 泰通涌坪 敏明
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抄録

 日本におけるウナギ(Anguilla japonica)の漁獲量は年々減少し続けており、毎年の放流による資源添加があるにもかかわらず、過去30年間で最大漁獲量の約30%にまで減少している。ウナギ資源の主な減少原因として、海洋環境の変動による幼生輸送の失敗、稚魚の乱獲と生活環境の破壊などが指摘されている。とりわけ、汽水域を含む陸水域はウナギが成熟するまでの重要な生育場所であるが、ダム、河口堰、改修、護岸などの人工構造物の建設工事等により生活環境が破壊されたのではないかと議論されている。 青森県小川原湖では、1964年の青森県水産試験場の調査によりシラスウナギの自然加入が確認されており、ウナギが自然分布する北限の水域と言える。年間漁獲量は、1960年代では23.5±7.8トンであったが、1977年から急に91トンの漁獲量が記録された。その後の25年間では急激な変動はなく、平均79.4±8.8トンであった。漁獲統計上は、ウナギの漁獲量が高くて安定した湖沼となっている。 本報告では、日本の主な湖沼におけるウナギの漁獲統計を解析し、漁獲量の減少率等を求める。それらの特性値と湖沼の環境変化(自然度)との関係を調べる。ウナギの生態特性の内、特に成長過程を主な水域間で比較する。以上の結果をもとに、小川原湖のウナギ個体群の変動特性を考察し、日本におけるウナギ資源の回復問題に関する提言も試みる。

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© 2005 日本生態学会
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