日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: E211
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生態的特性による里地的景観に生育する種のタイプ分けと群集構造
*田中 涼子小池 文人
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抄録

 種プールとなる地域フロラの構成は、群集の種組成に影響を与えるといわれている。しかし、実際に地域フロラにどのような種が生育しているかということが、群集の種組成に影響を与えているかどうかを明らかにした研究は少ない。本研究では、生態的特性を基にフロラの種をPlant Functional Type(PFT)に分け、(1) 種がフロラから群集に入る選択率は2地域で同じ、すなわち、PFTごとに、(群集でのPFT種数/全フロラのPFT種数)が2地域で同じである、(2)フロラのPFT構成比とは無関係に、群集のPFT構成比は2地域で一定である、という仮説を検証することにより、地域フロラが群集の種組成に影響を与えているか否かを検討した。 調査地は、東京都日野市と岩手県江刺市の里地的景観における1km2の範囲内である。それぞれの地域でフロラ調査を行い、フロラの約25%の種を乱数表によって選択し、対象種とした。それぞれの種において、生態的特性(耐陰性、最高植物高、葉・花・実のフェノロジーと期間、寿命、一生における繁殖回数、種子散布距離、地表面における光合成期間の横への広がり、蓄積バイオマス量など)を計測し、それを基に種をPlant Functional Type (PFT)に分類した。それぞれのPFTをどのような比率で含んでいるかによってフロラおよび群集の組成を表現した。上記の仮説の検証は、森林群集、刈り取り草地群集、雑草群集といった相観レベルで行った。

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© 2005 日本生態学会
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