日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: F203
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畑地の不耕起栽培が作物の生育・収量、大型土壌動物群集に及ぼす影響
*藤田 正雄藤山 静雄
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抄録

不耕起栽培は、植物残渣をすき込まないため土壌動物や微生物の餌や生息場所となる有機物の集積層が地表面に形成される。このことが、作物の生育・収量、土壌動物群集、土壌の物理化学的性質に及ぼす影響を検討するために、不耕起栽培と耕起栽培の試験区を設け、比較・検討した。[材料および方法]試験圃場は、1998年より、化学肥料を使用せず、有機質肥料で栽培した。2002年には2因子(耕起法、肥料の種類)、2水準、2反復(100m2×8区)の試験設計(L8)で栽培を開始した。さらに03年からは、緑肥間作の有無を加えて、3因子、2水準で栽培を行っている。スイートコーン、エダマメ、ナス、秋ダイコンを栽培した。作物の生育・収量、大型土壌動物群集および土壌の物理化学性について調査した。[結果および考察]収穫時のスイートコーンの地上部重量は、不耕起区は耕起区に比べて02年では72.6%であったが、04年には95.7%に増加した。エダマメでは同87.2%から96.7%に、ナスでは同75.0%から112%に増加した。このように、不耕起栽培の継続によって、耕起区との生育および収量差が減少した。ダイコンの全重は、02、03年は耕起区が高かったが、04年に不耕起区で263%と高かった。秋季の豪雨による湿害が耕起区で顕著にみられたことが原因と考えられる。採集された主な動物群は、ミミズ、クモ、ムカデ、甲虫(オサムシ、コガネムシ、コメツキムシ、ハネカクシなど)であった。耕起区の生息密度は、条間部分と通路部分とも耕起処理後減少し、不耕起区の生息密度は耕起区に比べて常に高かった。不耕起区では捕食性動物の割合が高く、耕起区では植食性動物の割合が高かった。04年の春からミミズの生息密度が増加し、土壌中に生息するフトミミズ属に加えて、堆肥中に生息するシマミミズがみられた。

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© 2005 日本生態学会
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