日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: S5-6
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青海高原草原の植物種多様性はどのように高いか
*陳 俊堀 良通山村 靖夫安田 泰輔塩見 正衛
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抄録

目的:青海高原における自然草原生態系の炭素循環解明の基礎として,植生の構造とバイオマスを調査した。青海高原の自然草原における種多様性は,他の草原と比べて非常に高いと言われている。その実態を,栃木県西那須野町の畜産草地研究所の半自然草原と比較して明らかにする。
調査地:青海高原は101°16’E,37°38’N,標高3,200mに位置し,年平均気温_-_1.7℃,年平均降水量589.0mmで,一般に夏季には放牧利用されていないが,冬季に羊・ヤクによる非常に強い放牧が行われている。一方,西那須野草原は年平均気温11.7℃,年平均降水量1,371mmで,初夏から初秋にかけて140日間程度の和牛のやや弱い放牧が行われている。
調査方法:10mあるいは50mのライントランセクト上に10cm×10cmの方形枠を80あるいは100個並べ,枠ごとに地上部を刈取って種別に分類し,70℃で48時間乾燥後秤量した。青海高原草原では2003・2004年7月下旬_-_8月上旬,西那須野草原では2002年10月と2003年6月に調査を行った。
結果:出現した種数は,青海高原草原では46_-_62種/m2(または0.8m2),西那須野草原では20_-_32種/m2であり, 青海高原草原では西那須野草原の2_-_3倍であった。また,100cm2当りでみると,青海高原草原では15.5_-_19.7種,西那須野草原では3.7_-_4.4種であり,青海高原草原では西那須野草原の4倍以上であった。
一方,バイオマスは,青海高原草原では3.0_-_3.3g/100cm2,西那須野草原では2.3_-_2.5g(枯死部を含む場合は5.7_-_5.9g)/100cm2で,両草原に大きな差はなかった。

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© 2005 日本生態学会
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