日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: S6-1
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オオオサムシ亜属の種分化と共存過程
*長太 伸章
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抄録

オサムシ亜科オオオサムシ亜属Ohomopterusのオサムシは日本固有であり、現在15種が知られている。本亜属は飛翔能力を持たないため分散が限られており、交尾器などの形態が著しく多様化している。また、多くの地域で体サイズの異なる2種以上が同所的に生息している。そのため、本亜属は種分化から種の共存にいたる過程を明らかにする上で興味深いグループである。これまでの形態、分子系統、生物地理的解析から、本亜属では異所的に種分化した種が相互に分散し、サイズが異なる種の同所的共存がもたらされたと考えられている。また、種の二次的接触が起きた場合、種間交雑とそれにともなう遺伝子浸透性が繰り返し生じていることが示されている。 オオオサムシ亜属は近畿地方から中部地方にかけて最も多様性が高く、オオオサムシ、ヤコンオサムシ、マヤサンオサムシ、イワワキオサムシ、ミカワオサムシ、ドウキョウオサムシ、ヤマトオサムシ、ヒメオサムシ(アキオサムシ)の8種が生息する。また、大阪・奈良県境の金剛山では5種、他の多くの地域でも2種以上が同所的に生息している。本研究では近畿・中部地方におけるオオオサムシ亜属各種の分布形成過程およびその共存過程を再構築するために、この地域に生息する8種の多数の集団から、約2,000個体のミトコンドリアDNA ND5遺伝子1,020bpの塩基配列データを収集した。ハプロタイプの統計的最節約ネットワークに基づくNested Clade Analysisや集団の遺伝的多様度、地域クレード間の系統関係の推定などから、それぞれの種について分布域の形成過程を推定した。そして全8種の分布形成過程の情報を統合することにより、近畿・中部地方における共存過程を再構築した。

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© 2005 日本生態学会
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