日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: P1-068
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空間的に不均質な土壌養分をめぐる競争が地下部の分布と個体の成長に及ぼす影響
*中村 亮二鈴木 準一郎可知 直毅
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抄録

 土壌養分の空間分布の不均質性と競争が植物個体の成長に及ぼす影響を定量的に評価することを目的に、ソライロアサガオを用いて、不均質性と地上部の競争(実験1)、不均質性と地下部の競争(実験2)を主要因とする栽培実験を行った。鉢内の全個体が1本の支柱を共用するか、あるいは支柱を各自で独占するかを地上部の競争の有無とした。地下部の競争では、鉢内の仕切り(ポリプロピレン板または防根シート)の有無を競争の有無とした。同量の遅効性肥料を、鉢内のパッチだけに集中的に与えるか、鉢内に均質に与えるか、あるいはその中間、の3条件を不均質性とした。 不均質性に対する地下部の形態的または生理的反応に個体差があれば、より不均質な条件下では個体サイズのばらつきの増加が予想される。また競争や不均質性が及ぼす個体サイズへの影響は競争下では下位個体ほど強いと予想される。 約6週間の栽培の後に植物体を刈り取り、乾燥重量を比較した。平均個体乾重量には地上部の競争と不均質性による効果が認められた。個体乾重量の全ばらつきへの各要因の寄与率は、地上部の競争下で6.24%、地下部の競争下で0.85%、不均質性下で5.74%(実験1)と4.24%(実験2)だった。同じ鉢内の個体を乾重量で順位づけし、その順位別に競争と不均質性の影響を分散分析で調べた。どの順位の個体でも地上部の競争の影響が認められ、地下部の競争の影響は認められなかった。不均質性の影響は、最上位や最下位の個体では認められず、中間的な順位の個体で認められる傾向があった。 以上の結果から、個体サイズのばらつきに地上部の競争に次いで不均質性が貢献し、異なる不均質性間での個体サイズの違いは中間的な順位の個体のサイズによって決定されること、が示唆された。

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© 2005 日本生態学会
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