日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: P1-086
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熱帯泥炭湿地林における植物繁殖と小型哺乳類個体数変動
*濱本 恭子百瀬 邦泰
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抄録

背景と目的:中央カリマンタン州のSebangau河流域には泥炭湿地が広がり、川から内陸に入ると、川と平行して帯状に森林タイプが変化する。森林タイプは大きく以下の4つに分けられる。Riverine forest(RF); 乾季の川から1km。pandan を主とし、わずかに低木がある。Mixed peat swamp forest(MPF); 川から1_から_3km、浸水域を超えた範囲。Low pole forest(LPF); 川から6_から_11km。林冠は低く、林床には背の高いpandan。Tall interior forest(TIF); 川から12km以上。植生の異なるそれぞれの森林では植物の繁殖周期が異なる。泥炭湿地林では一年間に林床の状態が大きく変化するため、林床での重要な種子捕食者が植物繁殖周期の決定に大きな影響を及ぼしていると考えられる。リス、ネズミ類を含む小型哺乳類に注目し、植物繁殖周期に小型哺乳類個体数動態が及ぼす影響を知ることを目的とした。調査方法:小型哺乳類個体数調査: 記号放逐法種子生産量調査: シードトラップ実生調査: 実生収集食害率調査: 種置き実験種子食動物の判定: センサーカメラ結果と考察:調査は林床が不安定な雨季に行なった。調査プロットはRFとMPFとの移行区、MPF、LPFの3地点に設けた。これら3タイプの森林では、異なる植物種が見られ調査期間の繁殖種、種子生産量は異なった。小型哺乳類についても、各森林タイプによって捕獲された動物種、個体数は異なった。各森林タイプで異なる生物間相互作用が働き、植物繁殖周期に影響を及ぼしている可能性がある。以後、継続して調査を行い季節性についても検討する。

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© 2005 日本生態学会
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