日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: S13-1
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冬季一年草のフェノロジー調節
*吉岡 俊人佐野 成範郷内 武
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抄録

植物は気温の季節変化に適応して一年草型の生活環を進化させた。一年草は夏季一年草と冬季一年草に、冬季一年草は、さらに、真性冬季一年草(obligate winter annual)と可変性冬季一年草(facultative winter annual)に分かれた。一年草の生活環は、基本的に、種子発芽タイミングと開花タイミングによって決定される。そこで、冬季一年草の発芽と開花のフェノロジーを調節する生態現象である高温による種子発芽の阻害、低温による種子2次休眠と未発芽種子バーナリゼーションの誘導について、生態、生理、遺伝子の各レベルで解析を行った。高温発芽阻害は、種子のアブシジン酸内生量と感受性を制御することでその程度が調節されて冬季一年草の秋発芽タイミングを決定する。冬の低温によって種子に2次休眠が誘導されるか未発芽種子バーナリゼーションが誘導されるかで、真性冬季一年草型と可変性冬季一年草型のどちらの生活環が発現するのかが決まると思われる。未発芽種子バーナリゼーションは新規な現象である。サブトラクションによって得られた未発芽種子バーナリゼーション候補遺伝子は、緑植物バーナリゼーション遺伝子と構造は違うが機能は似ているかも知れない。

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© 2005 日本生態学会
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