日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: A105
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淀川における淡水魚類相の変遷
*平松 和也内藤 馨
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抄録

 淀川は天然記念物のイタセンパラなど多様な魚類が生息する河川であるが,全域規模の調査例は少ない.当センターは,ワンド(止水域)で1972年から,本流では1984年から地曳網による調査を定期的に実施しており,その結果,外来種の増加,ワンドにおける在来魚種の減少,ワンドと本流の魚類相の均一化などが確認されたので報告する. 淀川の外来種はオオクチバス(以下バス),ブルーギル(以下ギル),カダヤシ,ヌマチチブ,ワカサギ,タウナギ,タイリクバラタナゴ,カムルチーなどで,調査地点1地点あたりの外来種の平均種数は,本流:1984年0.1種→2004年1.8種,ワンド:1972年1種→2004年2.6種と増加した(P<0.01 ANOVA).バス・ギルの増加は著しく,曳網1回の平均採取個体数は,バス(本流:1984年0.1個体→2004年12.6個体,ワンド:1972年0個体→2004年31.6個体),ギル(本流:1984年0個体→2004年10.2個体,ワンド:1972年0.1個体→2004年74.3個体)(いずれもP<0.01 ANOVA)であった.生息域も拡大しており,調査地点全体に対する出現率は,バス(本流:1984年1%→2004年99%,ワンド:1972年0%→2004年:92%),ギル(本流:1984年0%→2004年67%,ワンド:1972年3%→2004年96%)であった. 一方,ワンドの在来魚種は減少し,1993年までは1地点平均9種を維持していたが,2004年は5.4種に減少した(p<0.01 ANOVA).特にツチフキ,ハス,イタセンパラ等が減少した. このように魚類相は大きく変化し,主要15種のクラスタ-解析を行うと,1983年には本流とワンドが明確に区分されたが,2004年には両者の入り乱れたクラスターが形成された.また,判別分析では,本流とワンドの判別的中率は1984年には98%であったが,2004年には85%に低下した.

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© 2005 日本生態学会
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