2012 年 6 巻 2 号 p. 114-122
労働災害を減少させるには,現行行われている作業者への教育主導による安全衛生運動だけでなく,生産ラインの機械及び製造システムのライフサイクルにおける設備的な保護方策を実施しなければならない.この方策に関し,コスト増加を嫌う企業経営者の意向もあり,我が国は欧米と比べると遅れている.企業経営として保護方策の対投資効果が十分に有効であることを証明できることが,経営者の実施に踏み込ませる材料になる.そのためには,安全保護方策に関わる対投資効果の評価指標が必要であろう.本稿では,機械及び製造システムのライフサイクルにおけるトータルコストの視点から,安全保護方策を含む対投資効果のための評価指標を提案する.