電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
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EA研究会提案
再考・適応アルゴリズム
藤井 健作棟安 実治
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2015 年 8 巻 4 号 p. 292-313

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抄録

本稿は,適応アルゴリズムの原理が従来の説明では今一つ分からないと感じて始めた,ここ20 数年の研究成果の中から関連すると思われるところを抜粋してまとめた要約になっている.その研究の成果に従えば,適応アルゴリズムは参照信号の自己相関行列の非対角項に対する近似処理の方法によって分類される.その中で最も粗い近似を行う適応アルゴリズムが算術平均法.次いで係数再利用法,低域フィルタ法(学習同定法) と個別正規化LMS 法と続いて,最も高い近似を与える適応アルゴリズムが亜逐次最小二乗法である.一般に,適応アルゴリズムの解説はウィーナー・ホッフの解,最小二乗法,最急降下法,LMS(Least Mean Square) 法,学習同定法の順で行われる.そのうち,最急降下法以降で逆行列演算が不要になる.本稿では,算定した係数の再利用が逆行列演算を不要とする原理になっていることを示す.また,その係数再利用法こそが最急降下法の原型とも言え,ここから様々なアルゴリズムが導かれる.本稿では最後に,学習同定法を構成するベクトル表現式を要素に展開し,そこから再急降下法型のアルゴリズムを構成する一つ一つの信号が持つ役割を明らかにする.

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© 2015 一般社団法人 電子情報通信学会
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