実験動物
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マウスにおよぼす騒音の影響
2.くりかえし音刺激による聴原性痙攣発作発現率の変化
高橋 弘田中 智久山内 忠平野村 達次
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1969 年 18 巻 4 号 p. 165-170

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抄録

ICR-JCL♂・♀マウス70匹を用いて, 28日令から70日令まで, 10, 000cps・110dbの純音刺激を, 1回2分間として, 毎日・2日おき・5日おきの3群に分けて与え, その間の体重増加および聴原性痙攣発作の発現率の変化について観察した。
その結果はつぎのとおりである。
1.くりかえし音刺激により♂では体重増加に差はみられなかっだが, ♀では毎日刺激群および2日おき刺激群の体重は対照群より小さかった。
2.同一マウスに1回のみの急性音刺激を与えた場合には, あぼれの症状を呈したものはかならず横転し, 聴原性痙攣発作を起こしたが, くりかえし音刺激により, あばれの症状までは呈しても横転には至らない例がみられるようになった。
3.くりかえし音刺激による痙攣発作の発現には個体差が著明であった。
4.毎日音刺激群の♂では刺激28回目 (マウス55日令) , ♀では刺激18回目 (マウス45日令) 以後では痙攣・発作の発現例はみられなくなったが, 2日おきおよび5日おき刺激群では♂・♀とも70日令時においてなお痙攣発作を発現する例がみられた。
おわりに, 本研究の実施にあたりいろいろ御協力いただいた東京芝浦電気株式会社研究所に対し深謝いたします。また, 終始御指導いただいた東京大学教授野村晋一先生に厚く御礼申しあげます。

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© 社団法人日本実験動物学会
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