実験動物
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マウスにおよぼす騒音の影響
3.くりかえし音刺激による血液性状と臓器重量の変化
高橋 弘山内 忠平野村 達次
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1969 年 18 巻 4 号 p. 171-176

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抄録

ICR-JCL〓・♀マウスを用いて, 28日令から70日令まで, 10, 000cps・110dbの純音刺激を1回2分間として, 毎日・2日おき・5日おきの3群に分けて与え, 70日令時に最終音刺激を与えた直後に放血屠殺し, 血液性状および臓器重量について観察した。その結果は次のとおりである。
1.音刺激を与えない対照群と比較して, 刺激群は白血球数の減少傾向がみとめられたが, 赤血球数・ヘマトクリット値・血漿蛋白濃度・血糖値・アスコルビン酸および白血球百分率には著明な差はみとめられなかった。
2.臓器重量では, 刺激群の下垂体・甲状腺は増加し, 精巣・子宮および肝は減少の傾向がみられた。しかし, 副腎・胸腺・脾・腎および脳では音刺激による重量の違いは明瞭でなかった。
3.各刺激群ごとにまとめて対照群と比較した場合には血液性状・臓器重量の有意差はみられないが, 個体間のばらつきは大きく, それはくりかえし音刺激による感受性の変化との間に関連性があると考えられた。
おわりに, 本研究の実施にあたりいろいろ御協力いただいた東京芝浦電気株式会社中央研究所に対し深謝いたします.また, 終始御指導いただいた東京大学教授野村晋一先生に篤く御礼申しあげます.

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© 社団法人日本実験動物学会
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