Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
オープンフィールド試験法によるラットの行動と年齢との関係について
田中 公一杉山 修五十嵐 真一高垣 善男
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1984 年 33 巻 3 号 p. 297-305

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抄録
Wistar-lmamichi系ラットの雌雄を用いてオープンフィールド行動検査を行い, 生後発育および加齢にともなう変化について, 離乳直後から老齢 (21~695日齢) のものまでを対象に調べた。探索行動と考えられる歩行量および立ち上り数は雌雄ともにほぼ4~8週齢に増加し以後低下した。情動性行動の指標と考えられる排尿行動, 排糞行動, 洗顔行動および身つくろい行動は雌雄ともに年齢との間に一定の関係はみられなかった。排糞行動および身づくろい行動は雌雄とも成熟期以降に低下した。各測定項目とも3分間の観察期間での1分間ごとの発現率をみると, 歩行量は時間経過とともに急激に低下し, 立ち上り数は3分間に一定あるいはやや低下し, 洗顔行動, 身つくろい行動および排糞行動は経時的に漸増した。これらの変化は年齢, 性別に関係なかった。以上の結果より, ラットは未知の場面に遭遇した場合, 行動面において一定のパターンを示し, しかもそれが終生かわりえないものと推察された。また, これらの経時的観察は異常行動などを的確にとらえるうえで意義深い指標と考えられた。さらに性差がみられたことより, 雌雄は別々に評価する必要があると考えられた。
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© 社団法人日本実験動物学会
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