抄録
肉芽腫性虫垂炎が45例の日本白色種ウサギに観察された。病理組織学的には虫垂リンパ小節に異物巨細胞や石灰沈着を伴った多発性小肉芽腫が形成され, 異物巨細胞は被毛や虫体を包含していた。この肉芽腫性病変は回腸の正円小嚢と前腸間膜リンパ節にも認められた。これらの小肉芽腫およびマクロファージの胞体内にはPASおよびグラム陽性桿菌が貪食されていた。自己血清を用いた免疫ペルオキシダーゼ染色によりこれらの菌体は陽性を示した。細菌学的に虫垂病巣部からグラム陽性桿菌は分離されなかった。本病変は結核, 仮性結核病, 野兎病および放線菌病め病変とは異なった肉芽腫性炎であり, その発生には虫垂粘膜の損傷部から侵襲したグラム陽性桿菌の関与が示唆された。