Experimental Animals
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マウス卵母細胞の体外培養, とくに卵母細胞の減数分裂再開始能力について
佐藤 英明宮本 庸平
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1988 年 37 巻 3 号 p. 231-238

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抄録

32-34日齢のマウス (ICR系) 卵巣における卵母細胞の構成を組織学的に調べるとともに, さまざまな発育段階にある卵母細胞を分離分別して培養し, 卵母細胞の直径と減数分裂再開始能力との関係を調べ, 減数分裂再開始能力の獲得時期を明らかにしようとした。卵巣をカミソリで細断することによりステージ3b (Pedersen, 1970 [10] の分類による) より発育の進んだ卵胞にある卵母細胞の約30%が分離されると推定された。また卵丘細胞をもたない分離卵母細胞の直径を5μmごとにまとめると56-85μmの範囲に分布していたが発育を終了した卵母細胞を含むと考えられるステージ6以上の卵胞の卵母細胞の直径は70μmを超えていた。体外培養により直径66-70μcmの卵母細胞は81.8%のものにおいて減数分裂の再開始が観察されたが直径65μm以下の卵母細胞では全く減数分裂の再開始像は観察されなかった。直径50-60μmの卵母細胞を酵素処理により卵胞から分離して培養したが減数分裂の再開始は誘起されなかった。またCaイオノホアや8-Br-cAMPを培養液に添加しても卵胞に包まれた直径50-60μmの卵母細胞における減数分裂の再開始を誘起することはできなかった。以上のことからマウス (ICR系) の卵母細胞の減数分裂再開始能力は直径66μmを超えたころから発現するようになると推定された。

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