Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
アヒル卵殻を用いた鶏胚の培養
―最初の孵化例―
三浦 克洋末吉 益雄神部 昌行岡 基
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1991 年 40 巻 2 号 p. 251-254

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抄録

卵殻から取り出した鶏胚を培養する手法の開発のためアヒル卵殻 (DES) を用いた培養を行った。3日間孵卵した鶏受精卵35個の全内容をDESに移し替え, 通気性を保ちながら, 温度37.6℃, 湿度65%, 無転卵で孵卵を行った。無卵殻対照として, 37個の3日齢鶏胚をポリエチレンフィルムの容器で培養した。DESで培養した鶏胚は, 移し替え4日後まで14個体が死亡したが, 21個体が孵卵16日 (移し替え13日後) まで発育を続け, 孵卵22日後に, 3羽のヒナが孵化した。うち, 2羽 (雄) は, 6ヶ月間正常に成長し, 受精能力のある精子を産生した。これに対し, ポリエチレン容器で培養した鶏胚は, 孵卵18日までに全て発育を中止した。アヒル卵殻を用いる鶏胚の培養法は, 生存率・孵化率の向上が図られれば, 毒性物質の評価や, 遺伝子導入後の胚の培養に利用し得るものと思われる。

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© 社団法人日本実験動物学会
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