Experimental Animals
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Print ISSN : 0007-5124
強制換気マイクロアイソレーションシステムについて
―ケージ内環境: 温度, アンモニア濃度―
吉田 一也岡本 宗裕田島 優黒澤 努
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1994 年 43 巻 5 号 p. 703-710

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抄録

従来の実験動物飼育環境の基準はいずれも飼育室内環境で示され, 実験動物に直接影響を及ぼすケージ内環境についての検討は少ない。我々は実験動物の飼育環境を改善することを目的として強制換気マイクロアイソレーションシステム (FVMIS) を開発し, そのケージ内環境制御に関する研究を行っている。今回, FVMISの環境制御に対する性能を評価するため, 実際にラットを飼育した条件 (100g Wistar雄ラット5匹/cage) で温度とアンモニアの制御についての実験を行なった。FVMISをケージ内温度23℃となるように設定した時, ケージ内平均温度が22℃~24℃となり, ケージ間の差は平均で0.93℃であった。このときのケージ内の換気回数は65回/hrで, ほぼ均一な温度分布が得られた。また, アンモニア濃度が20ppmに達するのに, フィルターキャップをした非強制換気方式では9日であるのに対し, FVMISでは13~16日とアンモニア濃度の上昇が抑制された。このことは, FVMISによりケージ内のアンモニア濃度を長期間低濃度に維持できるだけでなく, 床敷交換頻度を少なくし実験動物へのストレス軽減に貢献できると思われる。これらの結果から, FVMISはケージ内温度およびアンモニア濃度を少ない換気量で適切に制御できるシステムであることが確認された。

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© 社団法人日本実験動物学会
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