ファルマシア
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薬薬連携 つながる病院・薬局
第7回 北海道 外来結核DOTS(直接服薬確認療法)の調剤薬局としてのかかわりと今後の展望
遠藤 喬石田 かおり
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2014 年 50 巻 10 号 p. 999-1001

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抄録

結核は昔の病気というイメージを持っている方も多いだろう.しかし現代の日本において,結核患者数は人口10万人当たり20人弱となっている.これは欧米先進国と比較すると高いものであり,依然として日本は「中蔓延国」として位置付けられている.
結核菌は主に吸入感染(飛沫感染,空気感染)で人の体内に侵入するが,結核菌感染=結核発病となるわけではない.ほとんどの場合は自己免疫によって生涯発病せずに済むことが多いが,免疫力の低下などで発病してしまったときは抗結核薬の確実な服薬が完治の絶対条件となる.服薬がおろそかになると耐性結核となったり,完治しづらくなって治療が長引く要因になったりする.つまり,結核治療の成否は患者のコンプライアンスに依存し,治療を最後までしっかり完遂させることが完治への近道となる.
そこで要となるのが,現在行われている『直接服薬確認療法』(direct observed treatment short course:DOTS)という治療法である.これは,WHOが推奨する医療従事者などの第三者が抗結核薬の服薬を直接確認する療法である.基本的に結核治療はイソニアジド・リファンピシン・ストレプトマイシン(またはエタンブトール)・ピラジナミドの4剤を2か月服用後,イソニアジド・リファンピシンの2剤を4か月服用する計6か月間の治療が行われることが多い.しかし,重症結核患者や合併症のある患者では,更に延長して3か月治療することがある.これらの薬をすべて一包化して一度に服用するのだが,これだけ長い期間の治療となれば患者の負担も大きく,治療の成功確率も落ちてしまう可能性がある.そこでコンプライアンス維持のため,患者の服薬を第三者が継続して見守るDOTSという方法が効果的なのである(図1).

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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