ファルマシア
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講義室
HOPA(Hematology/Oncology Pharmacy Association)9th Annual Conferenceに参加して
松井 礼子
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2014 年 50 巻 11 号 p. 1140_1

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抄録

HOPAは米国の臨床腫瘍領域での薬剤師の学会である.そして,がん専門薬剤師(BCOP)を認定している米国病院薬剤師会(ASHP)と連携し,がん医療に特化したBCOPの教育制度やがん領域のレジデント薬剤師(PGY2)の育成も行っている組織である.私は2013年3月にロサンゼルスで行われたHOPA9thAnnual Conferenceに初めて参加した.その中で印象深かったのは一般演題の他に薬剤師レジデント部門の研究発表ブースが設けられていることであった.米国の薬剤師レジデント制度は一般的な疾患での臨床薬学を学ぶ1年目(PGY1)と,より特化した専門分野を学ぶ2年目のPGY2の教育を受けるが,その教育カリキュラムの中に臨床研究は必須とされている.がん領域でのPGY2のレジデントはHOPAでの研究発表が義務づけられており,レジデント制度と学会とが上手にコラボレーションしていた.そのレジデントの発表は,完結した臨床研究の発表の他に現在進行中である臨床試験のプロトコールや中間解析に関する発表も認められており,発表に対してBCOPが助言したり指導したりする場としてディスカションが繰り広げられていた.米国のBCOPを取得するためのハードルはとても高いが,その分,社会的地位も高い.よって認定を維持することのメリットも非常に高いことから,学会が提供する認定継続への教育制度の参加率も高いと言われている.その大先輩が集まる会に今後BCOPを目指す薬剤師レジデントが参加し,そして発表し学ぶ姿が,とても印象的であり刺激的であった.日本の薬剤師レジデント制度はまだ確立しておらず,カリキュラムも受け入れも各施設に委ねられている.米国のように,ASHPがレジデントカリキュラムの統一化を図り,各専門分野の学会とタイアップしてスペシャリストを育てる教育制度は素晴らしいものであると感じた.

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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