2014 年 50 巻 12 号 p. 1222-1224
薬づくりの世界は,企業再編の熱がいまだ冷めやらない.他方でオープンイノベーションに活路を見いだす動きが勢いを増し,アカデミアとの連携が加速する.かつての自前主義は影を潜め,企業とアカデミアが萌芽期から併走して新薬を目指す戦略が熱を帯びる.
筆者は,(独)科学技術振興機構(Japan Science and Technology Agency:JST)の産学連携・技術移転事業の一部に外部メンバーの1人として加わり,アカデミアのシーズに発する薬づくりを10年近く眺めてきた.本稿では,その経験を起点にこの国の医薬品産業の現状と未来を考えてみたい.