2014 年 50 巻 3 号 p. 244
(+)-Linoxepin(1)は,アマ科の多年草Linum perenne L.(Linaceae)から2007年Schmidtらにより単離されたリグナンである(図1).ジヒドロナフタレンとジヒドロオキセピンが縮環し,環内に四置換オレフィンを含む歪んだ構造を有している.そのため,合成標的として注目を集めており,2013年初頭にTietzeらがパラジウム触媒を用いたドミノ反応を鍵としてわずか10工程で全合成を達成している.最近Lautensらは,Catellani反応を利用することで1の全合成をさらに短工程で達成したので,以下に紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Schmidt T. J. et al., Planta Med., 73, 1574-1580 (2007).
2) Tietze L. F. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 3191-3194 (2013).
3) Weinstabl H. et al., Angew. Chem. Int. Ed, 52, 5305-5308 (2013).