ファルマシア
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魚類のBDE-209低濃度曝露による甲状腺シグナル伝達の撹乱
水川 葉月
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2014 年 50 巻 3 号 p. 250

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抄録

臭素系難燃剤の1つであるポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)は,身の回りの家具や家電に難燃・延焼防止目的で添加されており,近年ではヒトや野生生物から検出され,その生体リスクが危惧されている.PBDEs製剤には異性体組成によりペンタ製剤,オクタ製剤,デカ製剤があるが,近年,ペンタ製剤の主要異性体であるBDE-47,BDE-99の毒性影響として,甲状腺機能の恒常性撹乱や神経発達障害が報告されている.日本では,2010年にテトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタBDEが化審法の第一種特定化学物質に指定されており,またこれらの物質は,欧米諸国においてRoHS指令や州の行政機関により製造・使用が規制されている.一方,デカ製剤の使用は世界各地で現在も継続しているにもかかわらず(米国では2013年末でデカ製剤の使用を廃止する動きがある),主要異性体であるBDE-209(図1)の生体への影響は不明である.本稿では,魚類のモデル動物であるファットヘッドミノーにBDE-209を曝露し,甲状腺機能へ与える影響を調査した研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Szabo T. et al., Toxicol. Sci., 107, 27-39 (2009).
2) Noyes P. et al., Environ. Sci. Technol., 47, 10012-10021 (2013).
3) Stapleton M. et al., Environ. Sci. Technol., 38, 112-119 (2004).

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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