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植物内生糸状菌の医薬資源としての有用性
石内 勘一郎
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2014 年 50 巻 4 号 p. 342

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抄録

抗がん剤パクリタキセルは,イチイ(Taxus spp.)樹皮由来の微量成分であるが,1993年にStierleらはTaxus brevifoliaの内生糸状菌Taxomyces andreanaeが同化合物を生産することを報告した.それ以来,内生糸状菌は植物由来微量有用二次代謝産物を無尽蔵かつ持続的に生産し得る新しい医薬資源として注目を集めるようになった.
しかしその後の20年間,植物内生菌の培養条件が有用物質の大量かつ安定供給が可能なレベルまで実際に最適化されたという報告はない.そのため,内生菌の医薬資源としての新たな有用性を示すには,まだ幾つかの障害が存在すると考えられている.このような背景の中,Zhaoらは,ヒカゲノカズラ科植物トウゲシバ(Huperzia serrataThunbTrev.)由来の微量成分ヒュペルジンA(以下,HupA,図1)を生産する内生糸状菌Colletotrichum gloeosporioides ES026のHupA生産条件の最適化を検討した結果,アルコールがHupA生産を促進する誘導因子として働くことを見いだしたので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Stierle A. et al., Science, 260, 214-216 (1993).
2) Zhao X. M. et al., PLOS one, 8, e61777 (2013).
3) Ma X., Gang D. R., Nat. Prod. Rep., 21, 752-772 (2004).
4) Zhang Z. B. et al., World J. Microbiol. Biotechnol., 27, 479-486 (2011).

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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