2014 年 50 巻 7 号 p. 688_2
薬物動態解析の方法としては,コンパートメントモデル解析が有名であるが,これは薬物血中濃度の時間推移の再現を目的としており,得られたパラメータには具体的な意味が乏しい.これに対しPBPK解析は薬物動態を生理的な構造に基づき解析するもので,得られたパラメータは個体の代謝能力,血流量,臓器体積などと密接な関連がある.PBPK解析により,in vitroからin vivoの系統的外挿が初めて可能になる.PBPK解析はコンパートメント解析をより複雑にして臓器中薬物濃度を再現するものと理解されることが多いが,モデルの複雑さではなく,解析の意義が異なる点に注意すべきである.基本となる生理的パラメータとして,クリアランスや分布容積の理解が重要である.