一般的な阻害作用は,阻害薬が存在している場合にのみ生じる可逆的阻害であり,阻害薬濃度が低下すれば作用は消失する.一方,阻害薬が消失しても作用が持続する場合があり,見かけの現象からLong-lasting inhibitionと呼ぶこともある.メカニズムとしては,薬物代謝酵素において活性中間代謝物が酵素タンパク質と共有結合を形成して不活化させるmechanism-based inhibitionと呼ばれる場合や,輸送体タンパク質を内在化させるために活性低下を引き起こすなどがある.いずれも活性回復には新規タンパク質の生合成や細胞膜へのソーティングが必要となるため,阻害薬が消失してもすぐに活性が回復しない.実験的にはプレインキュベーションによって作用が増大する現象が観測される.