2014 年 50 巻 8 号 p. 815
我々の腸内には,多種多様な細菌が共生している.腸内細菌の多くは大腸に生息し,食物繊維の分解,栄養素の産生,免疫系の調節にかかわっている.腸内の免疫系はユニークで,摂取した食物や常在する腸内細菌など,本来異物であるものを排除しない免疫寛容という免疫抑制作用が働いている.免疫寛容で重要な役割を担うのが制御性T細胞であり,異物の排除機能を持つエフェクターT細胞の働きを抑え,食物アレルギーや炎症の原因となる過剰な免疫応答が起こらないように調節している.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Atarashi K. et al., Science, 331, 337-341 (2011).
2) Furusawa Y. et al., Nature, 504, 446-450 (2013).
3) Arpaia N. et al., Nature, 504, 451-455 (2013).
4) Vidali G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 75, 2239-2243 (1978).