ファルマシア
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高アンモニア血症による神経毒性:アストロサイトの関与が見直される
橋本 敬輔
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2014 年 50 巻 9 号 p. 914

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抄録

アンモニアは,生体内において常時大量に産生されており,その大部分は肝臓で尿素への変換を受けて代謝される.肝不全などによりこの代謝機能が低下すると,高濃度のアンモニアが血中に蓄積し,その一部が脳内に移行することでさまざまな神経症状を引き起こす.通常,脳内に移行したアンモニアは,アストロサイトに存在する酵素の働きによりグルタミンに固定されることで解毒される.高アンモニア血症においては,この処理過程で過剰量のグルタミンが生成され,浸透圧上昇の結果生じるアストロサイトの膨張と脳浮腫によって神経症状が惹起されるというメカニズムが提唱されている.しかし,この仮説の裏付けとなる研究のほとんどはex vivoや末期患者の死後脳における研究であり,覚醒下の生体における直接的な証拠は存在しなかった.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Brusilow S. W. et al., Neurotherapeutics., 7, 452-470 (2010).
2) Thrane R. et al., Nat. Med., 19, 1643-1648 (2013).

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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